コロナで森に還れない孤児のオランウータンを支援

コロナで森に還れない孤児のオランウータンを支援

SPIN(スピン)|地球の才能を育むストーリーファンディング

――このオランウータンの赤ちゃんの写真を見て、あなたは何を感じるだろうか?


(©2020 Borneo Orangutan Survival Foundation)


ジェラパットくん、1歳半。

3歳の息子を持つ私にとっては、「オランウータンの赤ちゃんだ!かわいい!」が最初の感想だった。きっと多くの人もそう思うのではないだろうか。


しかし、この子のストーリーを知れば、そんな感想はどこかに吹き飛んでしまうだろう。


この子は、幼くして母親を亡くし、人間に囚われ、檻に入れられた状態のところを保護されたという。

“Mommy loves me”――そう印字された服と、この子の無垢な瞳を改めて見たとき、私の胸は押しつぶされそうだった。


インドネシアには、様々な要因で棲み処を失ったり、親を失い、密猟によって人間に飼われることとなったジェラパットくんのような孤児のオランウータンが数多く存在している。その状況をあまり多くの人には知られていないなかで、孤児となってしまったオランウータンたちを保護している団体があることを私は知った。インドネシアのBOS財団だ。


この財団が運営するリハビリセンターでは、常時400頭ものオランウータンたちが森に還るためのリハビリをしている。オランウータンの赤ちゃんは本来母親にくっついて6-7年かけて生きる術を学ぶ。ジェラパットくんたちのように幼くして母親を亡くしてしまった子たちにとって、財団のスタッフの人たちが母親代わり。施設では6-8年ほど、オランウータンたちの幼稚園から小学校のようなスクールでリハビリを行い、一人前に成長して、森に還っていくのだ。


(©2020 Borneo Orangutan Survival Foundation)


オランウータンは現地語で「森の人」という意味。オランウータンは豊かな森にしか生息できないため、その数は年々減っているという。豊かな森が失われている原因は地球温暖化や人間の経済活動による火災や森林伐採。経済活動というのは現地の人々のためだけでなく、先進国の我々の生活の一部を担っていることも多い。だから遠く離れたインドネシアで起きていることではあるけれど、決して私たちにとって無関係な出来事ではないのだ。


本プロジェクトの発起人である一般社団法人more trees(音楽家の坂本龍一さんが代表を務める森林保全団体)はBOS財団と協働でリハビリ施設の火災跡地の再生に取り組みながら、オランウータン支援や森林の豊かさを守る大切さを世の中に伝え続けてきた。


しかしなぜ、今クラウドファンディングを立ち上げようと思ったのか?


2020年3月、WHOによりパンデミック宣言されたコロナウイルスの影響は、オランウータンたちにも及んだ。リハビリを終えても森に還れない、還すことができなくなってしまった。森にウイルスを持ち込まないために、森への出入りが制限されてしまったからだ。


オランウータンにかかる費用は一頭あたり月2.5万円。400頭で1,000万円にも上る。BOS財団ではエコツアーをはじめとする普及啓発によって共感の輪を広げ、活動資金を募ってきたが、このパンデミック下ではそれも厳しい状況だ。このままではせっかく保護し、大切に育ててきたオランウータンの子どもたちへ食事を与えることも難しくなってしまうかもしれない。


――そこで、more treesは決意した。オランウータンたちのストーリーを日本中、いや世界中に届け、森に還れない子たちの支援プロジェクトを立ち上げよう!と。


ジェラパットくんの里親募集という形で保護活動支援金を集め、こうしたオランウータンたちの物語を知ることで、森林保護の問題、自分たちの豊かな生活が何の上に成り立っているのか、そしてこれから自分たちはどのような選択をしていくべきなのか?――遠いオランウータンたちに想いをはせ、サステナブルな生活を考えるきっかけになればと思う。


支援してくださった皆様には、レポートを通じて現地の様子やジェラパットくんに関するレポ―トをお送りする予定だ。


(© 2020 more trees)


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一般社団法人more trees(モア・トゥリーズ)とは:

音楽家・坂本龍一が代表を務める森林保全団体。加速する森林破壊と地球温暖化の危機的状況に行動を起こすために、坂本龍一、細野晴臣、高橋幸宏、中沢新一、桑原茂一の5名が発起人となって、100名以上の賛同人とともに2007年に設立。


地域との協働で森林保全を行う「more treesの森」の展開、国産材を活用した商品やサービスの企画・開発、セミナーやイベントを通じた森の情報や魅力の発信など、「都市と森をつなぐ」をキーワードに「森と人がずっとともに生きる社会」を目指したさまざまな取り組みを行っている。


BOS財団とは、more trees事務局長の水谷が前職で東カリマンタン州にいたころに縁があり、インドネシアにおける大森林火災をきっかけに2016年、BOS財団とmore treesが協働で森林再生プロジェクトを開始した。

ホームページ:https://www.more-trees.org/


BOS財団とは:

正式名称はThe Borneo Orangutan Survival Foundation.

オランウータンの保護を目的に1991年に設立されたインドネシアの非営利組織。ボルネオオランウータンの保護と彼らの住み処である森林の保全を、地域コミュニティやインドネシア環境省、海外パートナー組織とともに進めている。財団では、オランウータンを森に還すためのリハビリテーションを行う飼育員のほか、霊長類の専門家、獣医、生物多様性・森林リハビリテーション・教育など各分野のエキスパートを有している。現在、約400頭のオランウータンをリハビリ中。オランウータンのリハビリセンターを2か所運営する他、現地でのエコツーリズムによる雇用創出や森林保全に関する地域住民へのレクチャーを通じたアドボカシー教育なども行っている。

ホームページ:https://orangutan.or.id/


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ライター:白木賀南子



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