稲作神事とともに地域と未来をはぐくむ“八釣山”の米 奈良県橿原市

稲作神事とともに地域と未来をはぐくむ“八釣山”の米 奈良県橿原市

「八釣山」特別栽培米生産事務所 山尾吉史さん

「6町もの面積を、農薬を使わずに米作りをしている人がいる」


知り合いの農家からそう聞いて、ぜひその人を紹介してほしいとお願いした。6町というと、1周200メートルのトラックがあるグラウンド6個分ほどの広さだ。水稲で十分な稼ぎを得るには20町以上はやらないと、と言われる中で、6町という経営面積は決して大きいわけではない。しかし6町を除草剤や農薬を使わずにコントロールするとしたら、相当の知恵や技術が必要だろうと素人ながらに想像できた。一体どんな管理や工夫をしているのか。直接、話を聞きに行った。それが山尾吉史さん(八釣山特別栽培米生産事務所)との出会いだった。

(左:筆者、右:山尾吉史さん 撮影:南かおる)


農薬や化学肥料の使用をやめても収量は変わらなかった


山尾さんを訪ねる前に、同行を希望する人を募ってみた。すぐに数名から連絡があった。自分でも米作りを始めたい人、米農家と直接つながっておきたい人、米農家の12代目など、顔ぶれはさまざまだった。

(撮影:いわのさちこ)

日本の食料自給率は先進国の中では最低の38%程度だ。そして日本の農産物の99%以上は、農薬や化学肥料を用いる栽培方法(慣行農法)によって生産されている。意識されることは少ないと思うが、化学肥料の原料は原油や天然ガス、リン鉱石、カリ鉱石などで、ほぼ全量を輸入に頼っている。そう考えると日本人の食がいかに他国に依存し、国際情勢に左右されうるかは想像に難くないと思う。

山尾さんが米づくりを始めたのは2004年。父親が亡くなったのをきっかけに地方公務員を早期退職し、家業の農家を継いだ。父親の代では慣行栽培をしており、山尾さんも父親のやり方で米づくりを始めたそうだが、次第に環境のこと、食のことなど、疑問に感じることが増えていったという。除草剤をやめてみたらどうなるのだろう。肥料を減らしたらどうだろうと、試行錯誤を繰り返し、除草剤も農薬も化学肥料も一切使わない今の農法に行きついている。

初めて取材させてもらった日、山尾さんが何度か口にしたのが、
「わたしには哲学とか信念があったというわけではないんです。米づくりが上手なわけでもないですよ。」
ということだった。

はじめから目指したい栽培方法があったわけではなく、従来のやり方から引き算をしていったら、農薬や化学肥料の使用をやめても収量が変わらないことに気づいた、ということなのだった。不要なコストを削減できるし、環境や身体への負荷も低減できる。

山尾さんいわく、「わたしのやり方なんていい加減なものです」。

整然と整理された倉庫や、わかりやすい資料を見ていると決してそうは思えないのだが、山尾さんは何度もそう言って謙遜する。栽培方法に応じた収量変化や毎年の生産コスト管理など、データを積み上げながら試行と改善を繰り返し方法を確立してきたことが伺い知れる。コツコツと積み上げてきての今なのだ。


(撮影:からもも写真館/大塚杏子)

食と農を見直すことでさまざまな地域課題を改善したい


農業協同組合(農協)の存在意義は、生産者が作ったお米を再生産可能な価格で買えるようにすることのはずだ。しかし農家から赤字の価格でお米を買い取っているのが現状だ。

山尾さんの田んぼの平均収量は、反*あたり6.5俵。慣行栽培の平均生産コストが1俵15,000円だが、JAならけんの慣行栽培米の買取価格は1俵12,200円なので、1反つくると18,200円の赤字。6町やると1,092,000円の赤字になる。
*反(たん)は田んぼの面積を表す単位で、1000平方メートル

橿原市には「橿原市農業振興地域整備推進協議会」や「橿原市地域農業再生協議会」などがあるが、それらの協議会が設置されたそもそもの目的、たとえば農業所得の安定や担い手の育成などに関わる取り組みに関するものは少なくともウェブサイトで検索する限り見つからない。機能しているのは農業用地の用途を変更するとか農地から外すなどの、いずれも手続き的な処理に限られるようだ。

山尾さんは、「おかしいと思うことは山ほどあるが、行動する人がいない。関係部局に話しに行けば、その場では「やりましょう!」と盛り上がるが、その先の行動にまでつながることはまずない」と言う。

それでもあきらめるわけにはいかない。子どもの貧困問題が語られるようになって久しいが、山尾さんが関係機関をまわるなかで、彼が住まう橿原市にも今日食べるものに困っている子がいると知ったそうだ。命に格差はないはずなのに、経済格差は広がる一方だ。フランスの経済学者トマ・ピケティ氏によると、2021年世界の上位1%の超富裕層の資産は、世界全体の個人資産の37.8%を占める。

山尾さんは「時代の変わり目、行動を起こすとき!」と、行動を始めている。学校給食を通して食と農を一から見直していけば子どもの命を守れる。地域のさまざまな課題も改善していける。山尾さんはそう信じて、学校給食への地場産野菜の納入や、農業者育成モデルとしての小学生のお母さんたちとの「すまいる農園かぐやま」の設立など、具体的な行動をひとつひとつ進めている。



稲作神事とともに育つ米


(撮影:福田弘子)

万葉集で「天降りつく天の香具山」と歌われている天香久山。日本神話では、天香久山の土を使った祭祀によって日本は建国を果たせたと伝わっている。日本建国にちなむこの埴土(はにつち)の神をまつっているのが畝尾座健土安神社(うねをにますたけはにやすじんじゃ)だ。

山尾さんは神社護持と稲作文化の継承を目的に、畝尾座健土安神社の造田宮司の協力を得て「田んぼの祭り」を復活させた。2014年以降毎年、年間4回(播種祭、御田植祭、風鎮祭、抜穂祭)、祭りを斎行している。

田んぼの祭りにあわせて子どもたちの田んぼ体験を開催し、地域の子どもたちに食、自然、歴史、文化を、実体験を通して伝えてもいる。

(撮影:からもも写真館/大塚杏子)

山尾さんとつながり何度か天香久山の地に足を運びながら、誰とつながるか、何を選ぶかで、未来を変えていけると思った。山尾さんはとにかくつながりを大事にする。行事のたびに人と人をつなげ、ひとりひとりに声をかける。子ども向けの「田んぼ体験」を、年間を通じたイベントにしているのも、1回だけ来て終わりにしてほしくないからだ。何度でも来て何度も顔を合わせて人と人とがつながっていく。つながっていけば、何かのときに助け合える。地域社会を育てることがまずすべきことで、そうして築かれた地域どうしがまた横つながりで広がっていけばいい。

地道だし、たくさんの汗をかかないといけない。もちろん簡単ではない。でも、山尾さんと会うたび、「できる」という思いが強まる。一歩一歩やっていけばいいんだ。人とのつながりも、ひとりずつ増えればいい。未来のありたいイメージを抱き、その世界にいる自分を想像する。人それぞれに、その人の地元がある。わたしの地元にも課題は山積みだ。だけどきっとできる。山尾さんのように、大地に根を張り、丁寧に丁寧に進んでいけばいい。

毎年大地に稲を実らせる。一粒万倍。米づくりは国づくりなのだ。
自分たちの手で自分たちの暮らしを作る。わたしたちにはきっとそれができる。

(ライター:いわのさちこ)

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【栽培履歴】

●品種:ヒノヒカリ
「コシヒカリ」と「黄金晴」の交配によって生まれ、両方の長所をもらった特色として、コシがあり、冷めても美味しく召し上がれます。奈良県で最も多く作付けされていて、地元では有名なお米です。

●育苗期間中(苗代)
・農薬不使用
・化学肥料不使用
・種籾温湯殺菌処理
・ 育苗培土に竹パウダー使用(あす花園芸製造)
・有機水稲育苗肥料使用(川合肥料株式会社製造)

●栽培期間中(圃場内年中)
・農薬不使用
・化学肥料不使用
・稲藁・レンゲの鋤き込み + ボカシ肥料使用[有機に由来する原料のみ](川合肥料株式会社製造)

●農業用水:吉野川分水
(水源地:川上村・吉野町・東吉野村 管理:大和平野土地改良区)


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■商品について
・「八釣山」特別栽培米生産事務所で販売しているお米は、全て色彩選別処理済みです。虫に食われた粒や、草の実、籾などが残っている場合もありますがご了承ください。
・全て石抜き処理済みです。
・「白米」は、玄米15kgを精米いたします。精米後は1割弱目方が減りますのでご了承ください。精米は無料でさせていただきます。
・作付面積、収量等により価格は変動する場合がありますのでご了承ください。
・販売予定分の在庫がなくなり次第その年度分の販売を終了させていただきます。

■商品のお受け取りについて(取りに来られる場合)

ぜひ現地で受け取りつつ、神事・田んぼ体験もしくはお話し会にご参加ください!

・月1回、受け取り日を設定しています。
・受け取り日は、稲作神事や田んぼ体験イベントに合わせています。それらイベントがない月は、山尾さんのお話し会や、山尾さんの仲間たちとの交流会を設定する予定です。
・山尾さんは、ただお米を食べてほしいわけではなく、多くの人と直接出会いたい、そして、来た人同士でつながってほしい、と常々おっしゃっています。
・お話し会は、山尾さんだけでなく、山尾さんの仲間にも声をかけながら、さまざまなテーマで開催する予定です。
・何度でもお越しください。そしてつながり、共に学びましょう。

ㅤㅤ検討中のテーマ(予定):
ㅤㅤㅤㅤ栽培方法(慣行栽培/有機栽培)、稲のこと、ベランダ菜園、みんな農家になろう、
ㅤㅤㅤㅤ学校給食を考える、食育優先、米農家、自給自足、土の氏神様、田んぼの祭、
ㅤㅤㅤㅤ新規就農、田舎暮らし、移住、起業、自営、半農半X、気候変動、自然災害、
ㅤㅤㅤㅤ米の値段、市場価格と持続可能な適正価格、農業協同組合とは

【受け取り日】
1/28(日) 14〜16時 お話し会
2/25(日) 14〜16時 お話し会
3/24(日) 14〜16時 お話し会
4/21(日) 14〜16時 お話し会
5/26(日) 14〜16時 お話し会

■商品のお受け取りについて(発送の場合)
・準備が整い次第、順次発送いたします。
・環境への配慮から(石油製品の使用削減)、米袋のまま発送します。
・梱包(プチプチで包みます)をご希望の方は返信メールに記載のメールアドレスまでご連絡ください。
・発送完了のご連絡は、配送業者の「お届け通知」にてお知らせいたします。配送業者からのメールを受け取れるように、 お客さまご自身で設定をお願いいたします。
ゆうパック https://www.post.japanpost.jp/intmypage/faq/042.html
・お客さまがご不在の場合は郵便局の不在通知でご連絡いたします。お届け日時を再度調整いただき、商品をお受け取りください。
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その他ご注文に関して、ご質問やご不明な点などがございましたら、こちらまで返信をいただけますようお願いいたします。

詳しくは「特定商取引法に基づく表記」にてご確認ください。


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■ このプロジェクトについて

当プロジェクトは、氣合同会社のお米プロジェクトです。

・自然栽培、有機・特別栽培などのお米販売代行
・慣行農法→自然栽培米への転換・販売サポート
・生産者と消費者を繋ぐ参加型イベントの運営

などの活動を通して、わたしたちの思いに賛同してくれる農家さんとともに、新しい世界の創造にチャレンジしています。

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