日本伝統の「結 (ゆい)」のつながりを藁ぶき古民家の甦生を通して広めたい

日本伝統の「結 (ゆい)」のつながりを藁ぶき古民家の甦生を通して広めたい

自然に学び、人と人とが織りなしてきた文化とともに、情報社会との共存を目指す

ここは、福岡県飯塚市。目を閉じて思い浮かべてみてください。


そこには、昔ながらの藁ぶきの日本家屋と赤い夕日が反射する棚田の風景が広がる——

伝統や文化が受け継がれ調和が保たれた村々、青々しい木々に囲まれ、静かな川の流れがせせらぎ、雨は屋根の藁をしとしとと濡らし、やがて藁一本一本を辿り大粒の水滴となって地面に落ち、石を穿つ芸術的な音を奏でる。


藁や土、木といった自然の物から成る家は、四季の移ろいとともに傷んでしまいますが、地域の住民同士で協力し合って繕うことで、100年以上先の未来まで受け継がれてきたのです。


ここには、和を大切にする「結(ゆい)」の世界があります。

「結」とは、皆で支え合い、思い遣り、人と人とが織りなし紡ぎ合う社会。日本には常にそういったつながりがあったのです。


藁ぶき屋根改修工事の風景



人口減、少子高齢化、教育、環境問題、災害、エネルギー問題、後継ぎ不足による技術の後退——

SDGsという国連が定めた17つの目標は、地方を中心に深刻な問題として降りかかる日本全体の問題で、飯塚市も例外ではありません。


飯塚市はかつて、筑豊炭田で栄えた町でした。それもエネルギー革命により衰退し、町としての発展に大きな課題を抱えることとなったのです。


そこで取り入れられたのが、ICT技術による町の活性化計画でした。

2002年、「飯塚をアジアのシリコンバレーに!」という情熱を持った若者たちが立ち上がり、旋風を巻き起こし、その熱風は県や国全体にまで広がっていきました。



——2019年、私は仲間とともに「ブロックチェーン × 暮らし」を軸とする、“飯塚ブロックチェーンストリート構想”を開始しました。「藁ぶき屋根の古民家甦生」を通して人のつながりを見直すというこのムーブメントは、自治体を動かし、市や県をも巻き込むこととなりました。


個々人のつながりがどんどん希薄化していくこの世界で、もし子どもたちが「結」を知らずに育ったら、誰かが悩んだり苦しい思いをしている時、誰も手を差し伸べることのない未来が訪れてしまうかもしれません。

しかし、ブロックチェーンという、生活を見守り、互いを助け合うための技術があれば、誰かが孤独のまま置いてきぼりにされることは防げるはずです。


私は古民家で感じられる古き善き日本の文化と、ブロックチェーンという新たな技術を融合させ、この時代にふさわしい形で「結」を生み出したいと考えています。



古民家再生プロジェクトに参加する「結友」たち



日本の原風景は、誰の心の奥底にも眠る、私たちのアイデンティティです。

古来、日本が大切にしてきた想いを人から人へつなぎ、そのバトンを子どもたちに受け継ぐためにも、現代社会で失われつつある日本の文化「結」の心が、ここで大いに役立つでしょう。


古民家を再生することは、人間の再生でもあります。


これは、若者に未来を託す大人として、昔ながらの風景や、学びある「結」のつながりを残していくためのプロジェクトです。



物語の本編をVibes.mediaで読む



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■ メンタープロフィール



野見山 広明(のみやま ひろあき)

株式会社カグヤ 代表取締役社長。また、一般財団法人徳積財団にて、徳積活動に共感する人たちが集まる場、徳積堂を運営。ブロックチェーンを活用した地域共生圏の創造、および藁ぶきの古民家の再生などを手掛けています。

その他にも耕作放棄地や休耕田などを活用し、開疎の支援をし地域を守る後継者の育成や文化の伝承を行っています。



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