カメルーンの青年デザリーを助けたい!貧困、内政の悪化、新型コロナの感染拡大・・・それでも諦めない、心に決めたサッカー選手になるという夢

カメルーンの青年デザリーを助けたい!貧困、内政の悪化、新型コロナの感染拡大・・・それでも諦めない、心に決めたサッカー選手になるという夢

~マスクと消毒液さえあれば学校に行ける。学校に通うことができればサッカーができる~

この物語の主人公となるオットー・エマニュエル・ボクウェ・デザリーは、カメルーンのベコンド(Bekondo)という村で生まれました。カメルーンは、山や熱帯雨林から砂漠や真っ白の浜辺まで、多様な自然を見ることができます。アフリカ大陸に散らばる大自然がこの地に凝縮されていることから、アフリカ大陸の「ミニチュア」と呼ばれています。



親子で掲げた「サッカー選手」という目標


「デザリー」という名前は、1990年代後半に見事なドリブル戦術でカメルーンの国民を虜にした「ジョセフ・デザリー・ジョブ(Joseph-Désiré Job)」に由来しており、大のサッカー好きである父親が名づけたのでした。父親自身、幼いころはプロのサッカー選手になることを夢見ていました。


しかし、現実はそう甘くありませんでした。デザリーの父のサッカー選手になるという夢は夢として終わってしまいます。カメルーンに住む人々の月収平均は、約7,000円ほど。これはカメルーンの最低賃金に当たります。サッカースクールに通うどころか、一般的な教育を受けることができない子どもも多く存在します。デザリーの父もそのうちの一人で、学校に行けず早々と働かざるを得なくなってしまいました。


ベコンドのような地域では、学校に行くことは贅沢なのです。残酷なことに、10代の若者が売春の犠牲となり、都市部に送られ、その後、どうにか就ける仕事も低賃金で過酷な仕事であることが多くあります。このような現実から、若者が夢を抱くことすら忘れ、仕事に従事せざるを得ない状況が広まってしまっているのです。


やがて、デザリーの父親は、家族に恵まれ、生まれた息子が夢を追えるような人生を願うようになりました。デザリーもまた、かつて父が見た夢を継ぎ、サッカー選手になることを決意します。


しかし、貧困から抜け出すことは簡単なことではありません。デザリーの父は、ベコンドの農場で必死に働きますが、畑から得られるのはわずかな収入で、息子を学校に通わせるどころか、その日を暮らすのに精いっぱいだったのです。


デザリーと父親は、カメルーン国内にある、多くの有能サッカー選手を輩出することで有名な

ブラッセリー・サッカーアカデミーに通うことをただ夢見る毎日を過ごしていました。




――デザリーは、現在、母のモクウェと2人で暮らしています。モクウェはバナナ農園で仕事をしていますが、彼女が一月に稼ぐ賃金はわずか7,000円ほどで、これはカメルーンの最低賃金にあたります。そのため、モクウェは二足の草鞋を履き、食用カタツムリ採集も生業とし始めました。寝る間を惜しみながら彼女が働く理由は、デザリーの「サッカー選手になりたい」という夢を叶えるためにありました。


しかし、国の内部闘争、および、新型コロナウイルスの世界的な流行により、彼らの生活は一変しました。


働くにも農園が封鎖され、学校教育も受けられない状況に陥ってしまったのです。学校にも通えず、サッカーのチームに入ることもできず、満足な暮らしも出来ない生活に、デザリーは多大なストレスを抱えるようになりました。


そして気が付けば、薬物やアルコールに救いを求めるようになっていたのです。


カメルーンでは、教育よりも薬物やアルコールの方が得やすく、子どもたちが薬物やアルコールに依存する事例が後を絶ちません。


このままでは、デザリーの夢も、そして彼と同じ境遇にある他の子どもたちの夢も潰えてしまうかもしれません。


そこで、そんな子どもたちを守り、夢の実現を応援したいという想いから、地元のNGO団体「Local Community Development Association (以下、LCDA)」が立ち上がりました。


LCDAは、コロナ禍で学校に通えなくなってしまった子どもたちとその世帯に対し、食糧等の物資支援を行うとともに、コロナの影響でさらに麻薬を求めるようになってしまった青少年を守るため、麻薬撲滅啓蒙活動を進める計画を立てています。さらに、デザリーに対しては、通常の授業だけでなく、サッカーのトレーニング授業も受けられるよう、教育支援が行われる予定です。



――とあるサッカースタジアムで、一人の青年がゴールを決め、何万人もの人々が歓声をあげる。

その青年は、カメルーンのエコナという村出身で、様々な困難を乗り越えて、父や母と共に追いかけた夢を叶えました。


その青年、デザリーがシュートを決める様子に、肩を抱き合い、喜び合う人々もまた、デザリーと共に自分自身の目標へ向かって走り続けた人々なのです……



そんな未来を実現させるための一歩として、いま、この真実の物語は、新たな1ページが綴られようとしています。


デザリーと、子どもたちの夢を、一緒に応援しませんか?



Vibes.mediaで物語の本編を読む





(文・SPIN Writer)