日本に暮らすブラジル人の子どもが安心して未来に夢を持てるようサポートしたい!
多文化共生社会~日本に暮らす海外の人と共生できる日本の未来を目指そう~
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日本で共に生きるため立ち上げられた「NPO SABJA」
1990年、「出入国管理及び難民認定法」の改正が行われたことを機に、いわゆる“デカセギ”労働者の方が、海外から来日し、主にブラジルの日系人が中心でした。ピークの2008年には、約32万人のブラジル人が日本で暮らしていました。
在日ブラジル人の多くは、主に一次産業をメインとする仕事に従事します。そのため、工場などが多い、愛知県、静岡県、三重県、岐阜県などを中心に、在日ブラジル人のコミュニティーが形成されていきました。
異国で働くには、その国の言語や文化を理解することが問われます。しかし、多くの場合、事前に言葉や文化を十分に勉強した上で、日本へやって来るということはありません。家族のため、そして自分自身の未来のために、来日してすぐに働くことがほとんどです。そのため、言葉や文化の壁にぶつかってしまい、仕事や生活、共に日本で暮らす子どもの健全な生育や教育へ影響を及ぼすことにも繋がってしまうのです。
カトリックのシスターである、毛利よし子さんは、そうしたブラジル人コミュニティーの助けとなるよう、健康面や生活面でのサポートを開始しました。次第に彼女の活動に多くの方が賛同し、コミュニティーの人たちや、1978年の映画『GAIJIN・Caminhos da Liberdade』に出演した女優が代表を務める「Club do Brazil(ブラジルクラブ)」という日本人グループが、毛利さんの活動に協力するようになり、一緒になって1998年にボランティア団体を結成しました。そして2003年には、東京都庁より特定非営利活動法人としての認証を受け、正式にNPOとしての活動を開始しました。
それが、私たち、在日ブラジル人を支援する会(NPO SABJA(サビジャ))です。
1998年、在京ブラジル領事館は、ブラジル人コミュニティーのある地域を訪問する、移動領事館サービスを開始しました。しかし、ブラジル人コミュニティーからの相談・要請の内容で、移動領事館が対応できないものも含まれます。例えば、医療や生活相談等です。そこで、私たちは移動領事館に同行し、様々なサポートを行ってきました。
子どもたちが、未来に夢を持てるために
活動開始から約30年。【ポルトガル語のサポート窓口対応・教育支援・心理相談支援・キャリア支援】を中心に、専門家と共に活動を続けてきました。
特に、私たちが力を入れているのは、教育支援です。日本語を理解できず、文化になじめず、保護者が安定した仕事に就けずに引越しが繰り返されるなどで、不安定な家庭が生み出され、それにより犠牲になるのは子どもたちです。
そこで、大人へのキャリア支援はもとより、子どもたちへの教育支援へ力を入れるとともに、心理面でのサポートを強化してきました。
以下が、事業の簡単なご紹介です。
■ポルトガル語のサポート窓口対応
日本語が不自由なまま日本で暮らす中で、圧倒的に不足しているのが、ポルトガル語による暮らしのための情報です。地域によっては相談窓口が充実しているものの、情報が一元化されていないため、必要な情報が、必要な人に届いていないケースも少なくありません。
そのため、一般相談から教育、仕事など多面にわたる情報をポルトガル語で容易に得られるシステムを整備する事業などを行っています。
■教育支援
在日ブラジル人の子どもたちの多くは日本の公立学校へ通っています。しかし、ブラジルと日本の学校ではシステムも異なり、日本語での授業に追いつけないことがあります。また、発達障害やその他の理由で授業を理解できないケースもあるのです。
そこで、母語で受けられる知能検査を導入し、心理士が診断することで、的確に状況を可視化し、その子にふさわしい教育を受けられるようにしました。また、保護者と学校とが連携し合えるようにサポート窓口を設けて、ポルトガル語、日本語の双方向で説明できるようにしています。
この他に、日本語教育支援なども行っています。
■心理相談支援
言葉や文化の違いにより、日本での暮らしになじめず、また経済的な状況からうつ状態になってしまう人も少なくありません。その内訳も、子どもから大人まで様々です。
そこで、電話やオンライン、対面などの方法でポルトガル語の心理相談をアレンジし、ブラジル人心理士による相談体制を確立しています。
■キャリア支援
ブラジル人のキャリアアップを目的に、技能講習や、日本語学習支援を行っています。
また、日本で働くブラジル人の方や、日本で勉強し大学へ進学した方などのモデルとなる方を講師に、学生向けのセミナーを開催するなどしてきました。
尚、現在は新型コロナウイルスの影響により、対面での講習は実施できていない状況です。そのため、今後、オンラインで行えることなどを検討し、実施していくことを考えています。
これらの支援活動は、受益者に対して主に無償で行っています。
そしてもちろん、私たちの力だけで行われているわけではありません。
在京ブラジル領事館や、地域NPO、自治体や教育委員会などと連携とサポートを得るとともに、皆さまの支援を得ながら行っています。
日本社会に、在日ブラジル人が溶け込めるように
少子高齢化が進む日本では、海外からの労働力に支えられている側面が大きくあります。今後、彼らの支えなくしては、立ち行かなくなる産業も出てくるかもしれません。
私たちは、お互いに支え合っていかなければならないのです。
しかし、国として、移民を受け入れる考えや体制、在日の方々との共生において、課題はまだまだ山積みだと思います。国民の理解も浸透している状態ではありません。
しかし、この国で暮らす一員として、お互いに助け合えることは多くあるのです。
私たちの活動は、在日ブラジル人のためばかりでなく、日本の社会および日本で暮らすすべての人に繋がり、そして、共生を果たしたモデルケースとして、他の国出身の方の参考になれば、と思います。
皆さまには、こうした日本のいまと、私たちの活動を知っていただくことをきっかけに、在日ブラジル人を始めとする、海外にルーツを持つ人々と共に生きる必要性と重要性をご理解いただけましたら幸いです。
そして、私どもの活動に共感を頂くとともに、活動を持続させるため、このプロジェクトにご参加・ご支援を賜れましたら嬉しく思います。