「幸せ広がる美味しいお米」 転換米革命(農薬・肥料不使用へ)にチャレンジする6人の仲間 愛媛県

「幸せ広がる美味しいお米」 転換米革命(農薬・肥料不使用へ)にチャレンジする6人の仲間 愛媛県

氣ー愛媛チーム(愛媛県松山市)

「かつて文学人に愛された街で6人の志ある農家に出会う」


四国は『気』が特別だと常々思っていた。愛媛の農家さんへ取材に行くため大阪から二人で車を走らせ、鳴門海峡大橋から四国に入った途端、やはり、感覚が変わった。穏やかな、なんともいえない安らぎがある。運転する中川さんにそのことを話してみると、彼女も同じ感覚を持っていたらしく「人々の祈りがあるからかな。お遍路さんへのおもてなしの歴史もある」と言った。

瀬戸内海のそばにあり、水質も豊かな道後温泉の近くで、『農薬・肥料不使用』の米を栽培する6人の農家さんたちがいる。このうち移住者が2人。都会から戻り家業を継いだ人が1人。ここで生まれ育ち、定年退職後に家業を引き継いだ人が3人。農業を始めたきっかけは違うけれども「自然の循環」を大切にする思いを同じくした愛媛チームである。2023年は合計11トンの生産高を予定。現地に到着した私たちの目の前には、太陽に照らされた緑の田んぼが広がっていた。


チームリーダー 松井真弥さん

地球が豊かに循環する方法を求めてきた


(チームリーダー 松井真弥さん 撮影:カイ)

まずチームリーダーの松井真弥さんに話を伺った。大阪出身の松井さんは、以前はオーガニックたこ焼き屋の移動販売をしていたそうだ。国産小麦や化学調味料不使用で出汁をとることにこだわり、そのこだわりが小麦を自分で育てることに繋がり、農業の楽しさを知って2012年12月、29歳のときにオーガニック農家を志し愛媛県松山市へ移住してきた。
家庭菜園や古民家自給農、雇われ農業従事者など、あらゆる農的暮らしを経験後、現在は果樹園と田畑で食べもの作りに尽力。啓蒙活動家でもあり、「オーガニックビール販売」をして関連のバスツアーを企画する一方で、「自然栽培米の流通事業」にも力を入れ、『子どもたちに良い環境でバトンタッチする!』ことを目標とし、慣行農家から自然栽培農家への移行を現地の農家さんに提案している。
松井さんを駆り立てるものは、「なんとかせねば」という思いだった。
2022年の愛媛県は全国2番目に耕作放棄地が増えた県である。一般のお米(慣行農法)の買取り価格では、機械の設備投資代や、農薬肥料代を差し引けば、利益どころか人件費(労働対価)も出ない。親は息子に農家を勧めない。自給率が下がる一方。食が成り立たない。子供たちのご飯は大丈夫?
なんとかせねば。
国を支える、人を支える職業だから、もっと豊かになる価値を社会からつけられるべき。
文句を思うより、できることをしようと常々どうしたらいいかと松井さんが考えた結果、生まれてきたのが「慣行→自然栽培へ切り替え」の提案事業だった。
「何より、他の生き物を出来るだけ殺さない、傷つけない、地球が豊かに循環する方法を求めてきました。それが自分自身は1番の中心です」と松井さんは言う。
松井さんがやりがいを感じるのは、自然循環の中で生きて暮らしていることを、野良仕事で実感できること。そして、命の基本が仕事になっていること。
「農業で儲かる人が増え、食の安全が担保され、その農業の在り方が環境の恩恵を受けるだけじゃなく環境を豊かにしていく」
松井さんの思いは、いま着実に進んでいっている。
(文、仲谷)



元エンジニア 堀内学さん

優しい男が作るお米はきっと美味しいお米に違いない


(撮影:カイ)

堀内学さんは、4年前実家の農業を継ごうと決意した。
関東で銀行系のシステムに関わるSEをしていたが、どうもしっくりこなかった。
実家はお米メインの専業農家。両親も高齢になり周りからも帰ってはどうかと勧められ決心したそうだ。

就農までに色んな人の講演会に出向き話を聞いた。
山田正彦氏の種を守らなければならない、という話に感銘を受けた。
肌が荒れてアトピーが出たりしていたのを仕事のストレスが原因と考えていたが、色んな講演を聞くうちに、農薬や食べ物、化学物質が影響していると考え、自然栽培に意識が向いていった。
米を作っているとすぐに草はぼうぼうになり、カメムシが来る。ダメだと思っていても農薬を使ってしまうことが続いたが、今年から思い切って無農薬無肥料に取り組み始めた。
田植え前の代かきや水の管理が重要だと知り、そこに注意を払って行っているとのこと。今後は自家採種にもチャレンジしたいと考えている。

地元に帰った時に柑橘(みかん)をやりたいと思って、柑橘農家で2年間の研修を受けて就農した。その時のエピソードを語ってくださった。

「柑橘の畑にイノシシが入って荒らされるので、罠を仕掛けるんです。そこに掛かったイノシシを当たり前のように殺すんですね。それを、『やってみるか?』と言われてやったんです。殺すのは槍のようなもので心臓を一突きにしてやるんです。あまり殺したくはないんですがやらざるを得ない。害虫は踏んで潰しますが、哺乳類は普通殺したことないですよね。農家の人は日常的に普通にやります。そりゃ、大切な作物の畑を荒らす憎い敵ですから当たり前なんですけど。僕はすごいダメージを受けました。しばらく精神的にやられて、すごく考えさせられました。命のやり取りをしてるんだなぁ、と感じました」

ちなみにそうして殺すイノシシは、山に大きな穴を掘ってあってそこに捨ててしまうことが多いそうだ。害獣ということで、自治体から一頭に付きいくらか補助金が出るらしい。いい悪いという話ではなく、農家はそれをすべて、さばいて食べるという流通に乗せるだけの時間がない事が多いのだ。堀内さんは、せめて食べてあげられたら、と少し哀しそうに語った。

お話を聞いていて、優しい人なんだなぁと感じた。人のこと、作物のこと、動物のこと、それらが共生していける優しい世界を考えている人だと思った。
そして、そんな優しい気持ちで作るお米はきっと人を幸せにするお米に違いないと思った。
(文、中川)



松山お米栽培の中心的存在 うかのわ農園 岡崎仁志さん

心も体も喜ぶ自然栽培のおいしいお米を、誰もが当たり前に食べて暮らせる時代へ向けて


(うかのわ農園 岡崎仁志さん 撮影:カイ)

岡崎仁志さんは、自分で納得の行くものを作って食べたいと思い立ち、2010年より自然栽培を学び始めた。自然栽培での米作りは除草の労力が大変なため断念して野菜作りの農業を目指し、神奈川県で仕事をしながら、10a(1000㎡)の畑で自給農を開始する。しかし、自然栽培の野菜は土地生産性が低く、自給農としては収穫は十分ではあったが、農業として成立させることは難しいと感じ始めていた。
ちょうどその頃、愛媛県松山市で農(業)福(祉)連携で自然栽培の農業を実践する「パーソナルアシスタント青空」と繋がり、農業と福祉が合わさる事に可能性を感じて、2014年に愛媛に移住し栽培全般を担当することとなった。

西日本の水田には、田植えした稲を食べる厄介な害虫ジャンボタニシが生息している。ところが、岡崎さんは、稲の苗作り(苗代作り)や田んぼの土のならし方(代かき)、水の管理を工夫して、田植えした稲を残して次々と生えてくる雑草だけをジャンボタニシに食べてもらい、除草の手間を大幅にカットするという画期的な除草技術を確立した。

その有効性の実証のため2018年に松山市の認定を受けて新規就農。現在、実証6年目で、4ha(40000㎡)の田んぼでお米を栽培しており、来年は7haに拡大予定で、販路が伴えば10ha/1単位の中規模稲作の経営モデルを確立できる予定だそうだ。

現在、岡崎さんは愛媛の中予地方、重信川流域の中腹あたりの古くから稲作が盛んだった地域で、主にお米、麦、玉ねぎや里芋など、この土地の気候風土に合う作物を育てている。
化学肥料も有機肥料も一切不使用。農薬も必要ないため使用していない。
自家採種にも力を入れている。作物を育て、種をとり、翌年その種を蒔き、自家採種を何世代も続けていくことで、この土地の気候風土に合った、この土地ならではの個性ある在来種となる。そのため、自家採種を欠かさないそうだ。

この先、全国的にもそうだが、愛媛県でも高齢化による大量離農が控えている。
10ha規模の農家を1単位に、離農農地が出るほど農家が10件100件と増えていく仕組みを整えて離農農地を全て引き受けたいと岡崎さんは考えている。

10haが100件で、1000ha。自然栽培でも年間3600トンのお米を生産し続けることができ、年間50kgのお米を食べる人の72000人分のお米を生産し続けることが可能になるそうだ。
壮大な規模に思えるが、愛媛県の全水田面積の1/10程度の面積で、高齢化率と担い手不在率を考えると現実的な規模である。

自然栽培のお米は今は高級だが、この規模になると大幅なコストダウンが可能なため、スーパーに売られているお米と変わらない価格で本当に良いお米を提供することが可能となる。
また自然栽培の農業で十分な所得を安定して得られるようにもなる。稲作は簡単なので1年学んで2年目からサポートを受けながら独立でき、3年目からは教えることができるため、離農農地の増加に担い手を追い付かせることは難しくない。

今回の氣合同会社の立ち上げはとても絶妙な良いタイミングだと岡崎さんは、にこやかに語った。
「農家にとって適正価格での販路が決まっていると、安心して離農農地を引き受けてお米を作ることに専念できます。お米は計画通りに安定してできてくれるので、販路が決まっていると新規農業参入や若手慣行農家の自然栽培への切り替えも安心してできます。消費者と農家、食べると作るが一体として考え、消費者の需要が先立つことで消費者が求める品質の農作物を生産する農家は自然と生まれます。ジャンボタニシがいるところで離農農地があれば、どこにでも横展開が可能です。画期的な仕組みで離農農地を引き継ぎ、入れ替わることで時代は変わります」
青々と茂り風に揺れる稲が、やがて秋には黄金色の実りを迎える。
自然栽培のお米は、自然環境と食べる人と農家の幸せを満たす。これからは自然の則を超えず、自然の営みのペースに経済を合わせる時代だと考え、これからの新しい農業のあり方を提案していくという岡崎さんに、日本の未来を見た。
(文、中川)



農業委員会 渡部孝志さん、その幼馴染 野本正志さん

自然栽培に賛同する地元の農家さん


(左:野本正志さん、中央:渡部孝志さん、右:松井真弥さん 撮影:仲谷史子)

地元の農業委員会に勤めていた渡部孝志さん(写真中)は、定年退職後に家業の農業を引き継ぎ、松井真弥さんの勧めで2022年に農地の一部を農薬・肥料不使用の自然栽培に切り替えた。1年後には、渡部さんの幼馴染である野本正志さん(写真左)も、渡部さんの結果を見て切り替えにチャレンジすることを決意した。
渡部さんに、自然栽培に切り替えた動機を伺った。
「(慣行だと)亀が、死んでしまったりするもんで」
そして切り替えたあとは、「ウナギの稚魚が帰ってきたんですよ」と顔をほころばせた。
田んぼの中に、初めて入らせてもらった。いまは水を抜いた、少し柔らかい土の上に立つ。自然に包まれる感覚はこれなんだ、と思った。
足元をよく見ると、タニシがいた。渡部さんが言うには、タニシが雑草を食べてくれるが、苗も食べられてしまうことがあり、その塩梅が難しいとのこと。横にいた野本さんが「タニシが多いときは、網で、こうやってすくうんです」と動作を交えながら話した。
お二人とも楽しそうで、どこか誇らしげでもある。
あぜ道に入り、渡部さんは田んぼを振り返り、「自然栽培のところだけ、色が薄いでしょ」と言った。たしかにそうだった。「肥料をやってないからです。収穫も慣行より少なくなります」
私はどう答えて良いかわからなかった。
「でも、すごーく美味しいんです」と渡部さんは笑った。隣で野本さんが大きく頷いた。
(文、仲谷)


(松井よりひとこと)


いいものを作りたい。
良いものを食べてもらいたい。
その先に、より良い地球暮らしを作りたい。

みんなそれぞれ、
沢山の想いを込めて日々お米を作っています。

全国の仲間のそれぞれにストーリーのある、
美味しいお米を氣にいって頂けたら、
是非毎年食べ続けて頂きたいです。

そしてみなさまの大切な人にもぜひ。

これからも、
より良い"食"を目指します。

感謝を込めて。
愛媛チーム 松井


【栽培履歴】

●育苗期間中(苗代)
・肥料なしの無殺菌真砂土使用
・農薬不使用
・化学肥料不使用
・種籾温湯殺菌処理
※一部(11トン中2.4トン)は、JAから購入した農薬・肥料ありの苗を使用し栽培しています。
育苗は失敗するとその年のお米作りができず、予約していないと苗も購入できないため、チャレンジ初年度から全ての苗を自然栽培にすることはかなりリスクがありました。
そのため3農家2.4トン分は、育苗センターから購入した、農薬・肥料ありの苗を使用し栽培しています。

●栽培期間中
・農薬不使用
・化学肥料不使用

●農業用水:湧水地下水、久万川、ため池


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■商品について
・10月中旬以降、出荷準備が整います。
・「愛媛チーム」で販売しているお米は、全て色彩選別処理済みです。虫に食われた粒や、草の実、籾などが残っている場合もありますがご了承ください。
・全て石抜き処理済みです。
・「白米」は、玄米20kg(真空商品)もしくは玄米25kg(紙袋商品)を精米いたします。精米後は1割弱目方が減りますのでご了承ください。精米代は商品代金に含まれています。
・作付面積、収量等により価格は変動する場合がありますのでご了承ください。
・販売予定分の在庫がなくなり次第その年度分の販売を終了させていただきます。

■商品のお受け取りについて
・準備が整い次第、10月中旬より順次発送いたします。
・環境への配慮から(石油製品の使用削減)、米袋のまま発送します。
・プレゼント包装にはご対応いたしかねます。あらかじめご了承ください。
・発送完了のご連絡は、配送業者の「お届け通知」にてお知らせいたします。配送業者からのメールを受け取れるように、 お客さまご自身で設定をお願いいたします。
ゆうパック https://www.post.japanpost.jp/intmypage/faq/042.html
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詳しくは「特定商取引に基づく表記」にてご確認ください。


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■ このプロジェクトについて

当プロジェクトは、氣合同会社のお米プロジェクトです。

・自然栽培、有機・特別栽培などのお米販売代行
・慣行農法→自然栽培米への転換・販売サポート
・生産者と消費者を繋ぐ参加型イベントの運営

などの活動を通して、わたしたちの思いに賛同してくれる農家さんとともに、新しい世界の創造にチャレンジしています。

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