ずっと守ってきた “約束の自然米” おくやま農園/新潟県関川村

ずっと守ってきた “約束の自然米” おくやま農園/新潟県関川村

2023年から自然栽培圃場を一町歩へ拡張

“約束の自然米”と、それを使った濁酒(どぶろく)をつくる暮らし。


(林や丘に囲まれた田んぼ。光兎山から流れる清流で稲が育つ。 撮影:西巻洋平)


米どころ新潟県、関川村。
新潟市から車で一時間ほど走った、豊かな自然が迎えてくれるこの地に「おくやま農園」はある。
このたび氣合同会社で自然栽培への転換サポートを始めることになって、すぐに奥山さんの顔が浮かんだ。
奥山さんの信念、現状、もっと言うなら奥山夫妻が結婚した時のエピソードも関係してくる。(意味深)

本ストーリーは、奥山夫妻(政行さん、晴子さん)の許可のもと掲載していることは承知いただきたい。


結婚したら無農薬でお米作りをしたいんだけど。


(晴子さんのお願いからおくやま農園の自然栽培が始まった。 撮影:星野あき)


結婚後のお願いをされた政行さんに当時の気持ちを聞いてみた。


政行さん:無条件で「はい」と言うしかないよね。(一同大笑い)
なかなか相手が見つからず、半ば諦めていたところへ晴子さんとご縁があった。


そして五畝(せ)の田んぼを好きにしていいことになり、お義父さんに教わりながら昔ながらのやり方で自然栽培をスタートさせる。
田んぼで苗代をつくり、木枠で目印をつけて手植え、エンジン式ではなく手押しのカルチ除草と手除草、稲刈りは手刈り、乾燥はハサ掛け天日干し。
心配もあるだろうが昔懐かしさもあり、晴子さんのご両親、叔母さん、お姉さんみんな手伝いに来たそうだ。
なんか良い話。

二年そのスタイルでやってみたが、続けるのは無理と判断。
三年目以降は機械を取り入れながらも農薬や肥料は使わないスタイルに移行。
四年目ぐらいに面積を増やし、合計二反の自然栽培へ。
段階的に面積を増やし、今期から合計一町歩になる。

再び政行さんインタビュー。
インタビュアーは晴子さん。


——最初の頃の気持ちはどうでしたか?

政行さん:不安だった。とにかく草とのたたかい。
一年目は、生計が成り立たない子供のままごと遊びだと思った。
だって米がとれない。とれないのにどうやって生きていくのよって思った。

——年月が経ってチェーン除草を始めたころは面積も増やしてくれたりしてたわけでしょ。その頃の気持ちはどんな感じだった?

政行さん:最初の頃は50代で若かったから人力で引っ張るチェーン除草がなんとかできたわけよ。


(かつてはこのように無数のチェーンが付いた器具を手で引っ張っていた。 写真提供:奥山さん)


——その頃はどんな気持ちでやってた気がする?そういうことやっても良いなと思ってた?

政行さん:その頃もまだ気持ちとしては(自然栽培に対して)平行線。(一同大笑い)


平行線ながらも自然栽培のために色彩選別機を導入。
徐々にエンジンがかかってきていたのではないだろうか。
そしてこれからの、未来の話。


政行さん:これから私がやる気をなくすとか、やる気が尚更上がるとか、それは今後次第なんだけど。問題は体力。除草。今ね、新しい除草機械の導入を検討してる。


不安と半信半疑から始まった自然米づくりだが、多くの人と触れ合い、実績も残し、平行だった線も少しずつ変化してきている。

晴子さんが忘れられないエピソードがあるという。
映画「地球交響曲第六番」を東京まで二人で観に行った時のこと。
その時に、KNOB(のぶ)さんのディジュリドゥ(オーストラリアの先住民の伝統的な楽器)の生演奏を聴いて政行さんが突然大泣きし、「自分が今まで農薬とかで殺してきた虫たちに申し訳ないと思った」と言ったとか。
本能、心の奥深くでは政行さんの答えは確かにあるのだろうが、それを語るのは得意ではないようだ。


天の恵みと光兎山の清流と奥山さんの愛情で育ったお米。


おくやま農園のお米は、昔から信仰の山として親しまれてきた光兎山から流れる清流で育つ。
村の人たちで定期的にメンテナンスしているという水路の上流まで奥山さんに案内してもらった。

(定期的にメンテナンスしているという右奥の隧道。 撮影:星野あき)


(隧道の内部。これ以上の接近は無理だった。 撮影:星野あき)


昔からあるこの隧道は、火薬類は使うものの人の力で掘られたらしい。
メンテナンスも当然人力で、大勢で行う作業だ。
山から湧き出した水がここを通り、多くの田んぼを潤していく。
奥山さんによると、水量が豊富で水に困ったことは無いそうだ。

田んぼがある場所は標高が80mほどあり、お米が実る頃の日中と朝晩の気温差が大きいことで、食味の良いお米となる。

奥山さんは減農薬栽培と自然栽培の田んぼを持っていて、現在の減農薬栽培のお米は三町歩、肥料も農薬も使わない自然栽培のお米は一町歩。
減農薬栽培のお米は、植え付け後の除草剤散布を1回のみ行っている。これは慣行栽培の半分以下の使用量だそうだ。
自然栽培のお米は、「チェーン除草」、「カルチ除草」といった農薬に頼らない方法を組み合わせて除草している。

※一町歩=約1ha


本当はすべて自然栽培でやりたい。


奥山さんはマクロビオティックの美味しいヴィーガン料理が自慢の農家民宿も営んでおり、晴子さんは料理教室もしている。
マクロビオティックの考え方、生き方と共に日本古来の発酵文化、菌の魅力的な世界を伝えていきたいそうだ。

(4名の参加者さんとの料理教室。 撮影:西巻洋平)


(酵素玄米、重ね煮味噌汁、重ね煮豆腐ハンバーグ、重ね煮と蕎麦のサラダ、雑穀ドレッシングサラダ、さつま芋のきび団子。 撮影:西巻洋平)


そういう方だから、農薬や肥料をお米に使うというのに抵抗があっても不思議ではない。
では、何故すべての田んぼで自然栽培をしていないのか?

自然栽培ではチェーン除草、カルチ除草という方法で草に対処していくことになるが、この肉体的負担がやはり相当ネックだったようだ。
そんな奥山さんも昨今の農薬・肥料の高騰には頭を悩ませていて、プロジェクトの提案には最初から乗り気の姿勢でいてくれた。

支援者の皆さんの力を借りたりしながら諸問題をクリアした上で、自然の循環を壊さず美味しいお米を作れたら――。

そして広さ5.7反を自然栽培に切り替え。
2023年から始まった奥山さんのチャレンジだ。


酒好きは注目!

自家栽培の自然栽培コシヒカリで仕込んだ極上のどぶろく。


奥山さんのお米は、そのままお米として食べるほか、どぶろく仕込みにも使われる。
農薬・肥料不使用の自然栽培コシヒカリで仕込み、麹も自家製。
地域の自然が育んでくれる米と水、そして目に見えないけれど此処で生きている微生物たちが醸し出すお酒。
全国どぶろく研究大会で何度も入賞している。

(どぶろく通販はおくやま農園ホームページをご覧ください。 撮影:星野あき)

■ 政(まつりごと)
蒸米・麹・水に酵母を添加して仕込んだ濁酒。味の特徴はやや辛口。

■ 晴(はれ)※菩提酛仕込
蒸米・麹・水のみで仕込んだ濁酒。麹の割合が多く甘口のお酒。
※菩提酛仕込みとは室町時代に創製された仕込方法で、空気中の乳酸菌や酵母を取り込んで沸かせるどぶろくの基本的な造り方。


おくやま農園の美味しいコシヒカリをご賞味あれ。


(晴子さん、ラベル横向いてますけど最高の笑顔なので採用しました。 撮影:西巻洋平)


農薬を使わずにお米をつくることが当たり前な世の中が来ることを願いながら、すべてを自然栽培に出来ない現実のもどかしさがあると思う。
農家さんだけでは解決できなくとも、皆さんの協力があれば良い循環に乗せることができるのではないだろうか。

・お米を食べる
・農イベントがあれば参加
・どぶろくで晩酌

色んな形の支援がある。
皆さんと一緒に、自然の営みに沿ったお米作りをしていきたい。
そしてこれからも政行さんが晴子さんとの“約束”を守っていけるよう祈る。


(ライター:西巻洋平)


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おくやま農園
〒959-3215 新潟県岩船郡関川村深沢663番地
TEL 0254-64-0190
https://www.okuyama-farm.jp/

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・10月下旬以降、順次発送いたします。
・精米後は1割強重量が減りますのでご了承ください。今年の猛暑により玄米の表皮が厚くなっているため、1.3~1.5割減となります。精米代は当方で負担いたします。
・お米は色彩選別機にかけていますが、完璧に選別出来る訳ではありません。
そのため、まれに黒っぽいお米や籾付きのお米が残っていることがあります。
何卒ご理解いただきますようお願いいたします。

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■ このプロジェクトについて

当プロジェクトは、氣(いき)合同会社のお米プロジェクトです。

・自然栽培、有機・特別栽培などのお米販売代行
・慣行農法→自然栽培米への転換・販売サポート
・生産者と消費者を繋ぐ参加型イベントの運営

などの活動を通して、わたしたちの思いに賛同してくれる農家さんとともに、新しい世界の創造にチャレンジしています。


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